腰のその痛み・この骨より上ですか?それとも下?
皆さんこんにちは! 布野 聡一朗と申します。
この骨のラインに沿った痛みであれば仙腸関節部の痛みかもしれません!
本記事は当院で行なっている仙腸関節部の痛みについてのお話をさせていただきます。
もしこの部分の痛みについてお悩みで、すでに整骨院や整形外科の受診をされているが、なかなか痛みが改善しない場合、当院での鍼治療によって痛みから解放されるかもしれません!
→ 当院独自のアプローチについてお知りになりたい方はこの動画
*一部、専門的な内容になりますが、読みづらい箇所はスキップしてください…
仙腸関節の構造と機能
まずは基本的な仙腸関節の構造と機能をおさえておきましょう。
仙腸関節とは、背骨の下部にある仙骨が、骨盤の左右の腸骨と組み合わさってできている関節です。
二足歩行をする人間のちょうど上・下の繋ぎ目のような位置にあります。
⭐️ここで試しに上半身を動かしてみましょう。上半身が大きく揺れる一方で、骨盤周りは動かないで安定していますね。下半身を動かす場合も同様です。
あるいは、誰かが歩く後ろ姿を見てください。足が上下に振れる中、骨盤周囲は驚くほど安定した挙動をしています。
このように上下の多様な動きを許すために、運動の起点・要となっているのが仙腸関節と言えます。
安定性に優れ、可動性は少ないのが特徴です。
つまり、仙腸関節の構造の特徴をまとめると、
- 仙骨から上部、頭部に至るまでを含めた体の重み(荷重応力)を受け止めています。
- 足が床に設置している部分から伝わってくる力(床反力)も負荷としてかかる部分でもあります。
- そしてそのために安定性に優れた構造をしている。
- 仙腸関節の包内運動は2~3㎜とわずかです。むしろ長い間動かない不動関節だと思われていたし、現在も専門家の間で議論が分かれているポイントです。
諸説ありますが、人間が立ち上がって二足歩行をする前は、この関節は歩行とともに大きく動いていたと言われています。それが二足歩行する種に分岐する過程で、仙腸関節の役割に上半身の体重を支えるという大きな仕事が加わりました。それによって、仙腸関節の可動範囲が必要なくなり、安定性に適した構造に変化したと言われています。
結果として、仙腸関節はいくつもの頑丈な靭帯によって包まれ、補強されています。
仙腸関節は動くのか?構造的な問題
一般的には仙腸関節はまだまだ解明されていません。
よく言う仙腸関節痛というのはどこが痛んでいるんですか?
良い着眼点ですね!痛みは神経が感じるので関節が障害したのではなく、仙腸関節周辺の神経がなんらかの痛みを感じているわけです。
余計ややこしくなってきました…..
端的に言えば「仙腸関節周辺が痛ければ仙腸関節痛」なので、関節自体の障害が条件ではないんですよ!
なるほど!仙腸関節が解明されてないというのは
構造ではなく”機能”ということですね!
実は、なぜ仙腸関節の関節機能障害から痛みが出るのか、特になぜ仙腸関節から離れた部位に痛みを生じるのかについては、まだはっきりとした答えは出ていません。
その原因の一つは、そもそも仙腸関節が動くと言えるのかどうか、関節包があるのかどうかなどの関節の構造について専門家でも意見が分かれているからです。
仙腸関節は狭いながらも関節腔を設け、周りを靭帯で固めています。つまり動く余地を設けています。
先に四足歩行から二足歩行へ移行したときに、仙腸関節の役割に大きな変化があったということを述べました。
そして仙腸関節の包内運動は2~3㎜とわずかであることも述べました。
それ自体もまだ仮説に過ぎませんが、これは、つまり元々関節運動を行う関節の退化した名残なのか、
あるいは機能的に必要だから、関節が数ミリ動くのか…確かなことはわかっていません。
機能的に必要という点で言えば、例えば機能的に一種の耐震構造を持っているという説もあります。強い刺激や上下の揺れが起こった時に、強固な構造よりも、ややゆとりがある方が衝撃を吸収できるということです。
そういうことはあると思います。しかし機能的に説明できるということと、ある生物の体がなぜそのような形をとるのかはやはり別問題です。
次の項目では痛みの話に戻りましょう。
当院における仙腸関節部の痛みに対する考え方
さてここまで仙腸関節の特徴を確認してきましたが、
治療的な観点から問題となるのは、介入対象となる組織を特定することです。
関節には少なくとも、加齢や生活様式を主な原因として関節機能に関わる構造変化があり、構成する要素である筋・筋膜の協調が十分に行われなくなる時疼痛が出現する。ということはあらゆる関節について言えることです。大きく、
- 関節包(内)の問題なのか
- 関節を含む複合組織(外との関係)
という鑑別ポイントがあるということが言えるでしょう。
当院では、仙腸関節への介入は関節外の軟部組織を対象にすると判断しています。それには三つ理由があります。
こういった理由から当院では軟部組織に介入することを方針にしています。
仙腸関節というものが解明されてはいませんが、周辺の痛みを感じる組織は研究が進められています!
確実にできることからやっていこう!ということですね!!
近年エコーを含め画像診断のレベルが格段に進歩し、軟部組織に対する見方が変わってきています。そのため医師・理学療法士・その他セラピストの間で関節痛の考え方が新旧混同しているのが現状です。
もちろん各セラピストもベテランか新卒かで技術や知識の差はどうしても生じてしまいますし、
各セラピストがどの医療資格を有しているかによって、身体の見方に対する若干の傾向の違いはあります。
ですから、各セラピストが各々最大限情報収集に努め、誠意をもって臨床に当たっているという前提では、仮にそれが最新の知見に基づくものでなくても、必ずしも間違った考えであるとは言えません。
さらに言えば、一般的に旧い技術の方が、実践的な経験が蓄積されているので、そのリスクや効果について安心して初学者に教えることができるというメリットもあります。
それが理由かどうかわかりませんが、鍼灸学校では三十年以上前のリハビリの教科書をいまだに使用しているという事実もあります。
ただ、当院ではそれは一定程度の問題があることを否定できないのではないかという立場をとっております。
まず第一に、医学における最新の研究は概ね高いエビデンスレベルでの研究が実施されており、それを適応しないことによって、健康問題に対して正しい介入方法が取れないまま、あるいは誤った施術によって状態が悪化するリスクを問題視しております。
そのため当院では積極的に医師の参画する外部研修を受け、エコーなどの機械を導入し、従来の鍼灸治療を検証しながら臨床・発信を続けてまいります。